はじめに
2025年現在、日本は長期的な円安傾向が続いています。ニュースを見れば「1ドル=160円を突破」といった見出しも珍しくなく、円の価値が相対的に下がっていることを日々実感する人も多いのではないでしょうか。
「このまま円だけを持っていて大丈夫なの?」
「ドル資産を持った方がいいの?」
そう考える人が増えるのも当然です。
本記事では、円安時代における 外貨投資の基礎知識 として、外貨預金・FX・外貨建て投資信託などを整理し、それぞれの特徴とリスク、メリットをわかりやすく解説します。20代・30代の資産形成世代に向けて「ドル資産を持つ意味」と「賢い活用のヒント」をまとめました。
1. 円安時代に注目される「ドル資産」とは?
● ドル資産を持つメリット
- 円安に対する備え
円の価値が下がると、海外からの輸入品が値上がりします。エネルギーや食料、海外旅行など、私たちの生活に直結する部分で影響が大きいのです。ドル資産を保有することは、円安リスクの分散手段になります。 - 世界基軸通貨としての安定性
米ドルは世界で最も取引される基軸通貨。国際貿易や投資の基準通貨でもあり、信用度が高い資産として長期的に安定した価値を持ちます。
● ドル資産の注意点
- 為替レートの変動によって 円換算で損をするリスク がある
- 利息や分配金を受け取る際に 為替差益・差損 が発生する
- 投資商品によっては 手数料や税金 が割高になる
つまり、円安への備えとしてドル資産を持つのは有効ですが、「ただ持てば安心」というわけではありません。次に代表的な方法を解説します。
2. 外貨預金
● 特徴
銀行に円を預ける代わりに、ドルやユーロなど外貨で預ける商品。ドル定期預金などが有名です。
● メリット
- 円預金より 金利が高い(米ドルは日本円より利上げ傾向)
- 手軽に始められる(銀行口座から両替して預けるだけ)
● デメリット
- 為替手数料がかかる(往復で2〜3円程度/1ドルが一般的)
- 円に戻すときの為替レートで損をする可能性がある
- 元本保証は「外貨ベース」であり、円換算で元本割れのリスクあり
初心者にとって理解しやすい仕組みですが、長期保有や分散投資の一部として使うのが無難です。
3. FX(外国為替証拠金取引)
● 特徴
レバレッジをかけてドルやユーロなどを売買する投資。為替差益を狙う短期売買が主流です。
● メリット
- 少額の証拠金で大きな取引が可能(最大25倍のレバレッジ)
- 24時間取引できるため、ライフスタイルに合わせて投資できる
- 高金利通貨を買えば「スワップポイント(利息差)」を得られる
● デメリット
- レバレッジが高い分、リスクも大きい
- 相場が急変すると元本以上の損失が出る可能性がある
- 投資経験が浅い人にはハードルが高い
20代・30代で資産形成を目的にするなら「ハイリスク・ハイリターン」だと理解し、無理のない範囲で取り組むことが重要です。
4. 外貨建て投資信託・債券
● 特徴
投資信託や外国債券を購入し、分配金や利息を得る商品。ドル建て資産を保有する形になります。
● メリット
- プロが運用するため、個人で為替や株式を分析する必要がない
- 外国株や債券に分散投資できる
- 長期保有で複利効果を得られる
● デメリット
- 為替リスクを抱える(円換算でマイナスになる可能性)
- 信託報酬や手数料がかかる
- 元本保証はない
特に「投資信託」は初心者でも取り組みやすく、NISA口座を利用して非課税メリットを受けながら運用する人も増えています。
5. 20代・30代におすすめの戦略
● ポイント1:生活資金は円で確保する
まずは生活防衛資金を円でしっかり持ち、余剰資金でドル資産を検討しましょう。急な円高局面に備えて「安全資産は円」「分散資産にドル」と分けるのが基本です。
● ポイント2:外貨預金や投資信託から始める
投資経験が浅い人は、まず外貨預金や外貨建て投信で慣れるのがおすすめ。シンプルな商品からスタートするとリスクをコントロールしやすいです。
● ポイント3:長期視点で持つ
短期的な為替変動に一喜一憂せず、長期的に資産の一部をドルで保有する。これが円安時代を乗り越える鍵になります。
まとめ
円安時代に「ドル資産を持つべきか?」という問いに対しての答えは、**「分散投資の一環として持つのは有効」**です。ただし、外貨預金・FX・投資信託など商品ごとに仕組みとリスクが異なるため、自分の投資経験や目的に合わせた選択が必要です。
20代・30代の資産形成世代にとって、円だけでなくドルや他通貨を組み合わせることは「将来の生活防衛」につながります。大切なのは「無理のない範囲で、長期的に続けること」。円安の波に流されず、冷静に外貨投資を取り入れてみましょう。

