はじめに
「とりあえず社会人になったから保険に入った」「親や職場にすすめられて加入した」という人は多いのではないでしょうか。
しかし、保険料を毎月支払っているにもかかわらず、
- 本当に自分に合った内容なのか?
- 若いうちから高い保険料を払う必要があるのか?
- 将来のライフステージに応じて見直すべきなのか?
と疑問を抱く20代・30代も少なくありません。
本記事では、20代・30代の生命保険の正しい考え方と見直しのポイントをわかりやすく解説します。
1. そもそも生命保険は何のためにある?
1-1. 生命保険の役割
生命保険の基本的な目的は「もしものときに残された家族の生活を守ること」です。
- 死亡時:遺族の生活費や子どもの教育費をカバー
- 医療時:入院・手術などの治療費を補填
- 就業不能時:働けなくなった場合の生活保障
つまり「自分」ではなく「家族の生活」を守るための仕組みです。
1-2. 公的保障との関係
実は日本には公的保障(社会保険)があり、ある程度の保障はすでに組み込まれています。
- 健康保険:高額療養費制度により医療費の自己負担は上限あり
- 遺族年金:子どもや配偶者がいる場合、一定額の年金が支給
- 傷病手当金:病気やケガで働けないときに給与の約3分の2が最長1年半支給
つまり「公的保障+自助努力(貯蓄・保険)」で備えるのが基本。
すべてを民間保険でカバーする必要はありません。
2. 20代・30代は生命保険が必要?
2-1. 独身の場合
- 遺族に経済的な負担をかけるリスクが少ない
- 公的保障や貯蓄で十分カバーできる
→ 死亡保険はほぼ不要。必要なのは 医療保険(最低限)や貯蓄 です。
2-2. 既婚・子どもなし
- 配偶者が自立して収入がある → 大きな死亡保障は不要
- 専業主婦(夫)の場合 → 最低限の死亡保障は必要
→ 共働きなら保険は控えめでOK。
2-3. 子どもがいる場合
- 子どもの教育費(大学までで約1000〜2000万円)が必要
- 片親だけの収入では生活が苦しくなる可能性
→ 死亡保険(定期保険)で収入の穴を埋めることが重要。
2-4. まとめ
20代・30代の保険は「ライフステージによって必要性が変わる」のがポイント。
- 独身 → 医療保険+貯蓄でOK
- 夫婦二人 → 生活状況に応じて最低限
- 子育て世帯 → 大きめの死亡保障(ただし一定期間のみ)
3. 見直すべきポイント
3-1. 保険料が家計を圧迫していないか?
保険料は 手取り収入の5〜10%以内 が目安。
これを超えると「保険貧乏」になりかねません。
3-2. 貯蓄でカバーできる部分は保険不要
例えば「入院1日1万円」の医療保険。
高額療養費制度があるため、実際の自己負担は数万円で済むことが多いです。
→ ある程度の貯蓄があれば医療保険は最低限で十分。
3-3. 死亡保障は「必要保障額」を計算して決める
必要保障額=(遺族の生活費+教育費)-(遺族年金+配偶者の収入+貯蓄)
たとえば…
- 子ども2人(大学まで)
- 配偶者の年収300万円
- 貯蓄500万円
の場合、必要保障額は3000〜4000万円程度。
3-4. 終身保険は本当に必要?
20代・30代のうちは「終身保険(死亡保障が一生続くタイプ)」はコストが高すぎる場合が多いです。
必要なのは「子どもが独立するまでの定期保険」で十分。
4. 20代・30代が選ぶべき保険
4-1. 独身におすすめ
- 医療保険:最低限(入院日額5000円程度)
- 就業不能保険:必要に応じて
- 死亡保険:基本不要
4-2. 子どもがいる家庭におすすめ
- 定期死亡保険:3000万円前後(子ども独立まで)
- 医療保険:最低限
- 学資保険ではなく「つみたてNISA」など投資で教育資金を準備するのも有効
4-3. 保険より貯蓄を優先するケース
- 共働きで収入が安定している
- 実家の援助が期待できる
- 貯金習慣がある
この場合は「最小限の保険+貯蓄・投資」で十分です。
5. 見直しのタイミング
- 結婚:配偶者の収入や生活費を考慮
- 出産:教育費が必要になり死亡保障を増やす
- 住宅購入:団信(住宅ローンに付帯する保険)があるため死亡保障を減らせる
- 転職・独立:収入が変動するので保険を再検討
ライフイベントごとに見直すことが重要です。
6. 保険を選ぶときの注意点
- 営業マンのおすすめに流されない
→ 高い終身保険や外貨建て保険は手数料が多く販売されやすい。 - 「保障」と「貯蓄」を分けて考える
→ 保険はあくまでリスク対策。資産形成はNISAやiDeCoを活用する方が合理的。 - ネット保険も検討する
→ シンプルで保険料が安い商品が多い。
まとめ
- 生命保険は「家族を守るため」のものであり、独身にはほぼ不要
- 20代・30代はライフステージに応じて必要性が変わる
- 死亡保障は定期保険でシンプルにカバー、医療保険は最低限で十分
- 保険料は手取り収入の5〜10%以内が目安
- 終身保険や貯蓄型保険はコストが高く、資産形成は新NISAやiDeCoで行うのが効率的
保険は「一度入ったら終わり」ではなく、ライフイベントごとに見直してこそ真価を発揮します。
今の自分にとって本当に必要かどうかを冷静に考え、賢く選びましょう。